先日,反抗期のない子どもが増えていると友人と話していました.
母親は得意げに「うちの子は素直ないい子で反抗期もなかったのざますよ!」などと言うようですが,ちょっと待ってください,お母さん!!
反抗期がないことは決して喜ぶべきことではないのです.子どもはだんだん親に頼ることなく自分の力や親以外の自分で築いた関係の力を借りて物事を成し遂げようとします.その過程で,親に反抗するというのは子どもの大事な自己主張の機会であり,特にそれを言葉で反抗できることが大事だと私は思います.自分の考えや気持ちを言葉で表現することは社会で生活していくには必要不可欠なことです.それをこれまで自分を守ってきてくれた親との関係の中で訓練していくのだと私は思います.中には責任転嫁や言い訳も含まれていると思いますが,自分を守るためにはある程度これらのスキルを使えることも必要です.ですから,非行に走るほどではまた困ってしまいますが,親が言ったことに素直に従わないで自分はどうしたいかをきちんと言える反抗期を通過することはとても大切なことだと思います.
最近,リストカットをする中高生が増えていますが,彼らの中にはおそらく反抗期がなかった子もいると思います.リストカットする人が皆反抗期がないわけでは決してありませんが.彼らの中には自己主張の一環としてリストカットをしているケースもあります.自分のことをもっと見てほしい,自分がどんな思いをしているのかを気付いてほしいといった主張が意図されていることもあるのです.反抗期がなかった子どもは,親の言いなりに過ごしてきたわけですから,自分がどうしてほしいのかを言葉で主張することができません.自分のことを相手に伝えるのに言葉を用いてきちんと表現できること,それは大事な能力です.
反抗期は親からすると生意気に思えるかもしれませんが,いっちょまえに自己主張するようになってきたなと子どもの成長を喜んであげたいものです.反対に,反抗期がないような子には「自分はどうしたいのか」「どう考えているのか」を表現する機会を与える言葉かけをしてあげたいものです.ですから家族の団欒の時間は週に数回はあるといいでしょう.
最後に,誤解のないように言っておきますが,反抗期がないとリストカットをするようになるということでは決してありません.
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