物事のどのように捉えるか,それを「認知」と言いますが,この認知(思考あるいは考えと置き換えてもらって結構です)によって後の反応(気分・行動・身体)は大きく変わります.
たとえば,ある子どもが先生から叱られたときに,「先生はボクのことが嫌いだから叱ったんだ」と思ってしまうと,悲しい気分になるでしょうし,身体の反応として涙が出るかもしれません.行動として自分のことを嫌っている(と自分で思っている)先生を避けるかもしれません.
これはネガティブな考えです.もしかすると,自分は怒られても仕方のないことをしたのかもしれませんし,先生だって叱りたくないけれども,彼のことを思って叱ったのかもしれません.十分な事実確認をしないうちから「自分は先生から嫌われている」と思い込んでしまうことは早計と言えるでしょう.このネガティブな考えが後のネガティブあるいはアボイダント(回避的)な反応を引き起こしてしまうのです.
ところが,叱られたときに「先生はボクのことを思って叱ってくれているんだ」と思うとどうでしょう.先ほどのような気分になるでしょうか.人によっては励まされた気がして元気が出るでしょうし,次は気をつけようと反省する人もいるでしょう.そう悲しくなるようなことはないだろうと思います.涙も出ないでしょうし,先生を避けることにもならないでしょう.
このように,出来事に対してどのような認知をするかで後の気分や行動が大きく変わるのです.この出来事に付随して自然と出てくる考えを「自動思考」と言いますが,落ち込みやすい人や心配になりやすい人は,この自動思考がネガティブになっていることが多く,物事を悪い方向に捉えがちです.
ですから,そこでの考え方をネガティブではなく「もっと別の考え方をしてみよう」と思うことが大事なのです.心理学的にはこれは認知療法あるいは認知行動療法と呼ばれるものです.心理業界や精神医療業界ではここ数年ブームでもあります.
しかし,このセラピー,1960年代に登場したもので実はまだその歴史は40年余りです.この認知療法・認知行動療法とほとんど変わらない考え方を,160年以上も前に生き方として人々に伝えているのがお道の教祖である中山みき(おやさま)であります.
さて,そのお道ではどのように考えるのでしょうか.次回はこの続きからお話します.
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画期的な方法としてみんな絶賛してました。
「こんな考え方があったのか~」と当時は感心して
みんなで言ったものですが・・・
お道はその考え方を、もっとずーっと前から教えていたのですね。
改めて、深い教えだと思いました。
続き楽しみにしています。