言葉を使ったコミュニケーションは話す人と聞く人,この2者によって成り立っています.たとえ何人いようと話し手に対して聞き手がいなければ言語的コミュニケーションは成り立ちません.言語的コミュニケーションは話し手と聞き手が交互に入れ替わることによって成り立っていると言えるでしょう.では,どういうコミュニケーションが好ましいのでしょうか.
精神分析の創始者として有名なG.フロイトは自由連想によって患者の語りを促しました.カウチに寝かして患者に自由に思ったこと感じたことを話してもらうという非常に簡単なものですが,どうしてそれで患者は話す気になるのでしょうか.フロイトは自分の姿が見えない静かで落ち着いた雰囲気を作り出しました.姿が見えなければ自分のどこを見られているのだろうということも気になりませんし,そうしたゆったりした雰囲気で信頼できる相手がいるなら何もかも話してもいいと思うかもしれません.カウンセリングでもまず相手の話を否定することなく保証された時間内はしっかりと聴くというところから相手が何を話してもいいんだという気になります.他人に受け入れられることを嫌うひとはそういません.まず,相手が話しやすい,のりやすい雰囲気を作ることを心がける必要があります.
思いがけずにという経験が皆さんあると思います.契約するつもりじゃなかったのにサインしてしまった,断るつもりだったのに引き受けてしまった,話すつもりのないことまで話してしまった,という経験,少なくとも最後の経験はあると思います.逆に最初のが思い当たる人は要注意ですが.これらはその場の雰囲気からそういう決断をしてもいいかなと思わせた話し手に功があるのだと思います.話し手の雰囲気作りが上手だった.だからいくらもなかったのがそういう気になったのだと思います.
話がはずみやすい雰囲気とは,相手の警戒心をとき,相手がリラックスでき話しやすいような雰囲気を作り出すことです.それには聞き手は自分のテリトリーで話すということも大事だと思います.慣れた自分の職場や部屋で話す方がリラックスできるからです.相手を説得したいときなどは特にそうです.アウェイよりホームの方がいいです.ホーム・アドバンテージというやつです.野球でもホームのチームは有利です.ファンの熱狂的な応援が入りますし,使い慣れたグラウンドですし,リラックスでき,自分の力を十分に発揮できるのです.ですから,自分のテリトリーに引き込むということも大事です.それに加えてリラックスのできる柔らかい椅子があるとよりgoodです.固い椅子より柔らかい椅子の方が相手の話を促すのに貢献するようです.
教会の神殿は畳敷きが多いと思いますが,柔らかいソファーで話ができる一角があるとプラスになることもあるかもしれません.我が家にはありませんが・・・.
このように言葉を使ったコミュニケーションは話し手と聞き手の二者関係の中で成り立つものですが,話がしやすい雰囲気を作るという外的環境の演出も必要であるので,話し方,聞き方を磨くだけでなく周囲の状況を感知して配慮する感性も磨きたいものです.
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何故なら、私もホームでお話したほうが楽だからです。申し訳ありません。(汗)
だけど、今日のお話は大変為に成りました。と言うより私は知らぬ間に相手を引き込むテクニックを見に付けているようです。自分の事だけど自分でも知らない事が一杯ありますね
何故そうなるか、知ると次からは上手に相手を喜ばせるテクニックとして使えると思うのです。これは、自分にも相手にも良いことでしょう。
そんな良い事をしているまおさんに感謝しています。
ありがとうございます。