解離性障害の基本的特徴は,意識,記憶,同一性,又は環境の知覚といった通常は統合されている機能の破綻である.解離の症状は日常的で非病理的な現象から,重症で病的な現象まで連続していると考えられている.解離障害を持つ人も,正常から異常の範囲までの幅広い範囲の解離体験を示す.
スタインバーグは中核症状として,健忘,離人症,現実感喪失,同一性混乱,同一性変容の5つをあげている.また,パトナムは解離症状を二つの大きなカテゴリーに分けている.第一は健忘と記憶障害であり,時間喪失体験,基本的知識の忘却とそれにともなう困惑,自己史記憶の連続性に生じる空隙,知識の出所の健忘,および侵入的記憶がある.第二は解離過程症状である.ここには,離人と非現実感,被影響感/被干渉感,幻聴,トランス様状態,分離的同一性障害,認知処理の独特な変化で解離性「思考障害」と概念化されつつあるものが入る.
解離は心的外傷に対する防衛として現れると考えられ,発達論的観点が不可欠である.解離による防衛は2つの機能を持っており,1つは患者に心的外傷が起きているまさにその時にそれから逃れさせる役割を持っている.もう1つは,それ以降に心的外傷を正しく認識するという必要な過程をたどることを遅らせる.
解離状態の大半では,自己が相互に葛藤しているため,矛盾した自己表現が分離した心的区分において保たれている.解離性同一性障害の典型においては,それらの分離した自己表現は,それぞれが比喩的存在を担っており,交代アイデンティティとして知られている.
解離と分裂には類似点と相違点がある.両者とも心的内容を積極的に区分化し分離する.両者とも自己の中心にある対立する部分の統合に関する不快気分を払拭する防御として使われる.しかしこれらは,障害された自我機能の本質において違いがみられる.分裂においては,不安耐性や衝動性の制御が特に損なわれる.解離においては,記憶や意識が障害される.しかし,両者とも内的対象表象に関係した自己表象を作る心理的裂け目を持っている.
≪草むしり | HOME | 目には目を,歯には歯を,カレーにはカレーを≫
Author:まお & あいこ
まお:お道を信仰するよふぼくであり,教会子弟です.現在は精神科で働いています.
あいこ:お道を信仰するよふぼくであり,まおと出逢って入信しました.現在は精神科で働いています.
難しくて解離性障害はさっぱりです。
患者さんの病気の中でも比較的少ないと思いますし。
会ったことがあまり私はありません。
それにしても、この障害は不思議ですね・・・人間ってほんと不思議。