夕方より院内で医療訴訟の講習がありました.非常に勉強になり,参加してよかったと思いましたが,同時に医療って怖いと思い,自分が提供していることの重みを知りました.医療従事者サイドから見れば,とても大変なことですが,病院に自分や家族の命や人生を預ける患者にとっては当然きちんとしてもらわなければ困ることですし,現に自分だって患者やその家族となることは多々あるのですから,両者の視点を持つことが大事だと思いました.
近年の動向として,医療ミスだけでなく,インフォームド・コンセントが十分でなかったという理由から,病院が敗訴しているケースがぐんと増加しているとのことです.患者に十分な説明と選択権を与え,同意を得てから医行為すること,そして説明したこと,行ったこと,また説明しなかったこと,おこなわなかったことについてはカルテにしっかりとその理由と手続きを記載しておくことが重要と言っていました.カルテに書いていないことはいくら口頭で主張したところで,証拠にはならないとのことです.
精神科は他科と違い,手術等の治療はなく,ほとんどが薬物療法による治療ですが,それでも訴訟は起こりうるとのことです.薬に副作用があるならば,その副作用をきちんと説明して,患者の同意を得てから処方をしないと(もちろん,その経緯はカルテに記載します)万一,副作用によって患者に重大な後遺症が残ったり,死に至ったりしてその家族が訴訟を起こしたときに,やはり敗訴となって民事責任を問われる可能性があるようです.
心理士は医師と違って処方はできませんが,こうした危険がないわけではありません.カウンセリングの契約や心理検査の施行にあたっては,やはりその目的と施行した場合の効果,おこなわなかった場合にどのような経過をたどるかを十分に説明した上で,患者に受けるのか受けないのかの選択をしてもらうという手続きを踏むことが肝要と思いました.治療契約に関しても同様に,できることできないことをはじめにきちんと説明し,より厳密な治療契約を結ぶ必要があり,契約内容をカルテにも記載し,しかもそれを同意書として文書に残すということまで今後はしていかないといけないのかもしれないなぁと思いました.
また,心理士はその業務の性質上,どうしても対象者と密室で1対1で会うということが多いです.密室での出来事に関しては提示できる証拠がありませんので,特に異性との面接に関しては注意が必要ですし,この先は部屋に院内セキュリティの向上と称して映像のみのビデオを取り入れるなどの対策も考えていく必要があるかもしれません.
さらに,業務については公式の「業務マニュアル」を作成し,それに基づいて業務をおこなっているということを提示できるようにしておく必要があると思います.現在,臨床心理業務には特にマニュアルはなく,私の判断で随時行動しているので,基本的な関わり方の方針を早めに公式文書にしようと思います.そうすることで,心理業務の正当性と信頼性も増すことでしょう.
いや,今までそこまで深く考えないで仕事をしていましたが,今日の講習はいい刺激になりました.そして,自分の行為の責任の重さも感じました.ありがとうございます.
ところで,お道のおたすけでは訴訟って起こりうるんですかね?おさづけと家族の信心でご守護いただけますと言って助からないで死んだから民事訴訟とか・・・.
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