紬さんのコメントにお答えすべく記事を書きたいと思います.以下の3点ですね.
・精神科で働く人の役割
・心理療法士と臨床心理士の違い
・私が教えている学生の目指す職
まず1点目です.
精神科医は薬物療法(薬の処方)と心理教育・精神療法などの言語を介した治療の役割です.たくさんの患者さんを抱えていて時間の確保が困難ですので,長時間の治療が有効と判断される場合には心理士にカウンセリング・心理療法として依頼があります.
精神保健福祉士(PSW)は本人が社会復帰や社会で生活しやすくするための精神保健や福祉のサービスを整えるための相談や援助をする役割です.
心理療法士・臨床心理士はまず名称から説明しないといけないのですが,現在国家資格がないので心理職は施設によって名乗っている役職名が違うのです.心理療法士,臨床心理技術者,心理相談員,臨床心理士など様々です.うち,臨床心理士は日本臨床心理士認定協会が認定する認定資格でして,心理系の数ある資格の中では一番メジャーです.国家資格ではないので医療で働くのに必ずしも臨床心理士の資格は必要ではありません.ただ有資格者の方が知名度や専門性の信頼度の関係から病院としては採用しやすいようです.
役職名はその病院によって違うので,心理療法士と名乗っているからといって臨床心理士の資格を持っていないということではありません.しかし,役職でも臨床心理士と名乗っていれば臨床心理士の資格は持っています.心理職は心理アセスメント(心理検査や心理査定面接)とカウンセリング・心理療法,心理教育など心理・人格面に接近することを通して症状や人生がよりよくなるよう相談や援助をしていく役割です.
したがって,2点目の心理療法士と臨床心理士の違いとなると,一般的役割に違いはないというのが答えになるかと思います.ただ,心理療法士の場合,先述のように臨床心理士とは限らないということです.
その他に質問にはありませんでしたが,看護師は看護を,薬剤師は薬の調剤と服薬指導を,作業療法士は社会適応能力の回復のための運動や手工芸,料理などのリハビリを,栄養士は栄養管理と栄養指導を,それぞれおこなうという役割を担っています.
また,補足説明として精神療法と心理療法について述べておきます.どう違うのだろうと疑問に思うかもしれませんが,どちらもpsychotherapy(サイコセラピー)の訳語です.psycheという語が医学では「精神」,心理学では「心理」と訳されたので,両方の言葉が存在します.医師は医学を修めていますので,精神療法を,心理士は心理学を修めていますので心理療法という言葉を一般に使うというだけのことです.
3点目の私が先週まで教えていた学生は看護専門学校の学生ですので,将来は看護師を目指しています.
ざっと上記の疑問に答えるとこんな感じです.
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