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お道と臨床と~心づくりのたね~

お道(天理教)と臨床心理学の視点を含めて,まおという人間が考える日々の通り方や考え方について綴っています.日記風なこともわりとあります.

お道の考え方を生かす(2) 

未読の方はまず以下を閲覧ください.
お道の考え方を生かす(1)

お道では,教理の中心に「かしもの・かりものの理」というのがあります.当ブログでも過去に触れていますので,未読の方はお読みください.(⇒かしもの・かりものの理

私たちのこの身体は親神様からのかりものであると教えられています.(つまり,親神様からすれば,私たちに身体をかしているということです.)心臓が休みなく動くのも,呼吸ができるのも,手足が動くのも皆神様からおかりしているこの身体に親神様のお働きがあるからです.親神様のご守護なくしてはわたしたちは指一本動かすことすらかないません.

また,親神様よりおかりしているのは,身体だけでなく,実はこの世にある全てのものです.自然も空気も,便利な文明機械も皆親神様からのかりものであります.家族や友人,恩師といった身の回りの人間関係でさえも親神様が私たちにかしお与えくださっているものです.つまり,私たちはこの世に生を受けて,親神様のご守護によって生かされているだけで,計り知れない恩恵を親神様より受け続けているということになります.

それは,どんな苦境におかれても,世の中にはなお感謝に値することに満ち溢れているということだと思います.人間,良くない出来事,不快な出来事があると,どうしても心に不足を抱えがちですが,それでもなおその状況を明るく捉える一条の光は常に存在するのです.そのことをおやさまは身を以て教えてくださっています.

以下は天理教教典からの引用ですが,水と漬物ばかりの貧しい生活をしていた頃の逸話です.

十年に亙る長い年月の間、かかる窮迫の中にも、教祖は、常に明るい希望と喜びとをもつて、陽気ぐらしへの道を説かれた。そして、時には、水と漬物ばかりで過されながら、「世界には、枕もとに食物を山ほど積んでも、食べるに食べられず、水も喉を越さんというて、苦しんでいる人もある。そのことを思えば、わしらは結構や、水を飲めば水の味がする。親神様が結構にお与え下されてある」と、子達を励まされた。

(天理教教典 第5章 ひながた)

水と漬物しか食べられないような状況であれば,「何でうちはこんなに貧しいんだろう」「自分は情けない人間だ」などと考えて気分的に落ち込んでしまい,意欲を失ってしまう人は少なくないでしょうし,「これ以上失うものなんて何もありゃしない」と考えて,世の中に対する敵意を抱き,盗みという行動に出る人もいるかもしれません.そのような気分や行動は,「水と漬物しか食べられないという状況」に対して認知の部分で否定的自動思考が働いているから起こってくるのです.この認知が,仮に肯定的なものであれば,後に生じてくる気分や行動ももっと前向きなものになります.

たとえば,引用文のように水と漬物しか食べられないような貧しい人がいたとして,「水と漬物しか食べられないという状況」に対して「それでも水が飲めるご守護を与えられている」「水を飲めば水の味を感じられる」という認知が働きますと,結果として「ありがたいという感謝の気持ち」が沸いてくるでしょうし,行動として,その感謝に応えるべく人に喜んでいただく奉仕活動に勇んで取り組めるかもしれません.

これはどんな状況においても,当てはめることができます.私の体験で言えば,一昨日携帯電話を落としたときもそうですし,過去に車にガソリンをこぼしてしまったときでもそうです.たとえ,認知療法・認知行動療法を知らずとも(もちろん知っていればなお力になることでしょう),不快に思える出来事が起こっても,神様の存在を知っていて,そのお働きを心に感じられると,自動思考はおのずと肯定的なものになるのです.それは人生の様々な局面を乗り越えていく上でとてもたすけになる考え方だと私は思います.ですから,お道の教えを知っている方は是非その考え方を生かして人生を歩んでいってほしいと思いますし,知らない方は是非知っていただきたいと私は思うのです.

認知療法・認知行動療法はまだ歴史が浅いですが,お道のこのような喜びや感謝を見つける捉え方は160年も前から存在し教えられてきたことです.前者のように,残念ながらエビデンスはありませんが(それとも誰か実証研究しましたかね?),心理学的に考えてもとっても有効性の高いものだと思いますよ.
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