以前も書いたかもしれませんが,カウンセリングでは通常の人間関係ではありえない約束事が治療構造として存在します.通常の人間関係ではなく,職業的役割関係なのですから,当然なんですけどね.
たいていは45分とか50分とか60分とか面接の時間が決まっていて,同じ曜日の同じ時間に毎回同じ部屋で開始され,たとえ遅れて来ようとも同じ時間に終わって,帰ってもらるというのがスタンダードです.原則として面接時間以外では会うことはありませんし,電話での相談に頻回に応じることもありません.この外枠は厳しく,この治療構造の外枠を作ることはカウンセリングにおける父性的行為と言えると思います.
思い通りに動かせず,融通が利かなく,頑固で壊れにくいものですが,この外枠の治療構造―つまり父性的秩序がきちんと機能することによって安定した要素が作られて,たとえ間隔が開こうとも,いつも同じ時間に同じ場所に行けばそこにいつもと変わらぬカウンセラーがいて,話に耳を傾けてくれ,クライエントは受容されるという母性的側面が得られるのです.
ですから,母性的行為を最大限有効に生かすためにも,父性的側面である治療構造はどっしりと安定して在るべきなのですが,私は先日,この治療構造を甘く見ていて失敗しました.家庭において父性的役割に担う父親が重要なように,カウンセリングにおいても父性的役割を担う治療構造は安定の上には重要なのだと認識しました.
次回は,お道における父性と母性について書いてみます.(書ければ)
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