先日同業の友人より
Around40というドラマが始まるよというメールが来ましてさっそくPCをいじくりながらですが見てました.
以下は番組サイトの第1話のあらすじの引用です.
緒方聡子(天海祐希)39歳、優秀な精神科医、独身。言うべきことはきちんと言う、面倒見のよいアネゴ肌で、仕事でもプライベートでも頼りにされている。趣味はひとりで高級旅館に泊まり、お笑いのビデオを観ること。
そう、彼女はこの5年間、結婚どころか彼氏すらいない。それでも仕事にやりがいがあって、経済的にも不安はなく、一緒に遊べる親友で“結婚しない宣言”をしている後輩の森村奈央・35歳(大塚寧々)や高校時代からの同級生通称マーくん:大橋貞夫(筒井道隆)39歳という男友達の存在もあり、楽しく“おひとりさま”の人生を謳歌していた。
40歳を目前に控えた同窓会で、高校時代からの親友で専業主婦の竹内瑞恵(松下由樹)に「子どもが欲しいなら今すぐ結婚すべき」と“女性としての幸せ”へ向けてのアクションを急かされるが、当の聡子は今ひとつピンとこない。
そんなある日、聡子は衝撃的なことが起こって落ち込んだ奈央を励まそうと、行きつけの温泉旅館に出かけるが、そこでたまたま、イケメンだけどエコにこだわるちょっと変わった男性(藤木直人)が恋人と別れる場面に遭遇する……。
このちょっと変わった男性が臨床心理士で上記精神科医のもとに入職してくるのです.あらすじはまぁどうでもよく社会的認知度がまだ低い(?)臨床心理士の紹介をわざわざドラマの中で天海さんがしてくれたところを強調したいです.
- 精神科医が十分な時間がとれない分,臨床心理士が時間をかけて患者さんの話をきくこと
- 資格をとるのが大変なわりに仕事が少なく給料が安いということ
- ②の理由から男性の心理士が少ないということ
これら厳しい現実をドラマの中で訴えてくれてました.臨床心理士というと稼げる仕事という誤った認識を持たれている人もいるかもしれませんが,業界全体で見れば否としか言いようがありません.名の知れた先生の中にはそういう人もいるでしょうが,現実的には常勤職が少なく非常勤を掛け持ちしている人が多いというのが現状です.給料も看護師さんより全然安いです.このドラマに登場していた臨床心理士も週3回のカウンセリングルームでの仕事以外は運送関係のバイトをしていたようです.33才独身という設定の背景には経済的な不安定さという事情を考慮してのこともあるのかもしれません.それと,仕事が少ないことを如実に描きたかったのかもしれませんが,30代で心理と無関係の非常勤職をしている人はそう多くはない気がしました.
さて,臨床心理士は女性が多いということですが男女比はおそらく男性2~3割,女性7~8割くらいでしょうか.2004年の調査では約5割の人が非常勤の掛け持ちのみで仕事をしていて(週に5箇所日替わりで勤務している知人もかつていました),常勤のみの就業をしている人はわずか3割です.このことは,安定を得るのがそれだけ容易ではないことを意味します.しかし,非常勤職が多いことは就業条件的には子どもを抱える女性には優しい仕事と言えますので子育てをしながら非常勤で仕事を続けている人も多くいると思います.自治体にもよりますがスクールカウンセラーは時給が5000~5500円ほどもらえますので,スーパーにパートに出ることを思えば確かに稼げる仕事かもしれません.もっともそれなりの責任を抱えますが.対照的に医療領域では臨床心理士はケースワーカー(精神保健福祉士など)に並んで病院の利潤にはあまり貢献できない職種ですので時給は1000~1500円程度ではないでしょうか.2000円もらえるところはあまりない気がします.患者さんにとっては大切なのですが,臨床心理士はいなくても経営は十分成り立つので採用していない,あるいは非常勤で済ましてしまうという病院が多い気がします.そういう意味では私はありがたいご縁をいただいたなぁと親神様に感謝しています.常勤職1名,週3非常勤職1名ですからね.
このドラマ自体も成人~中年期の孤独と停滞性の一面を切実に描いてくれそうでおもしろいのですが,臨床心理士がどのように描かれるのかが見所の1つでもあります.皆さんも時間が許せば是非見てみてください.TBS系で金曜10時からです.
ところで,関連して話しておくと,私の大学院の友人でよく当ブログにもコメントをくださるぐうたら三昧さんのブログ「
ねことひるね」も是非のぞいてみてください.リンクに加えていなかったことも思い出したので加えておきます.彼もまた臨床心理士であり,大のガンダム好きです.が,いつの頃からか宇宙世紀から別の世界へ旅立ってしまいました・・・.
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知っている・・・。
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