以前に,宮崎伸一郎先生(教会長&臨床心理士)の講演の中で,「影」という言葉が出てきてなるほどと思った話がありました.記憶が曖昧なので自分の見解も加えて書きます.
世間的にも評価される両親の下で育ち,それを映したように子どもが育つ中に,一人だけ非行に走るような子どもがいたとしたら,それをどのように説明できるでしょうか.子どもは親を映す鏡であるのなら,そんな子どもに育つのはおかしいと思うでしょう.しかし,そうではなく,その子どもは親の生きられなかった影の側面を生きているわけです.どんなに人間的に素晴らしい人でも,人間である限り悪い心遣いだってします.それを表現する,行動に移すことが悪だと思っているとしたら,その行動は抑えられ,親の人生では生きられずに表だった人生の「影」として潜みます.そして,それは世代を超えて子どもに表れるのかもしれません.
ですから,子どもに問題が生じたときには,それを子どもの人格や養育環境のせいにするのではなく,親はこれまでの人生を顧みる必要があると思います.そして,子どもが自分の生きられなかった影の側面を生きているのだと理解したとき,以前は子どもが思うように育っていかない憤りや煩わしさ,疎ましさを知らず知らずのうちに子どもに向けていたかもしれませんが,子どもへの見方が劇的に変わることと思います.なぜならばその子は親が生きられなかった影の部分を一生懸命生きているのですから.子どもを通して,親はそういう面があったことに気がつき,自分の生き方の質を高めることができるのです.むしろその子に感謝する日さえ来るかもしれません.
どんな子どもでも,子どもは親の生き方を映しています.うちの子が何でこんなふうに・・・と嘆く親御さんがいらっしゃるかもしれませんが,そうではありません.親がやってこなかった,あるいはできなかった影の側面をその子が生きているのです.そのことを理解してあげてください.
子どもは親を映す鏡です.子どもをして自分の生き方を知るでしょう.
Author:まお & あいこ
まお:お道を信仰するよふぼくであり,教会子弟です.現在は精神科で働いています.
あいこ:お道を信仰するよふぼくであり,まおと出逢って入信しました.現在は精神科で働いています.