最近,子どもが殺される事件が頻発しています.次々に起こるので,どの事件だっけ?殺されたのは誰だっけ?と混同してしまうほどではないかと思います.
通勤路の小学校では,学校の前に警官がいて,ところどころに安全パトロールの黄色いジャケットを着た人が立っていて,集団登校の最後尾にはたいてい保護者が一人ついています.これは異常なことです.10年も前なら考えられなかったことでしょう.
マスコミの過剰な報道がこうした傾向を煽っていることは否めませんが,このような対策を講じないと子どもを守ることができないかもしれないという疑念を生じさせる現代社会に問題があります.住宅化,核家族化が進み,近隣の人間関係が希薄化しやすい状況では,お互いでお互いの家族を,地域住民を守るということをしていかなければならないのは必須といえるでしょう.
このような状況において,我々は社会が病んでいるという悲観論に達するだけでなく,もう1つの可能性を得ることができます.それは,希薄化した地域人間関係の回復です.地域あるいは近隣住民にとって,犯罪は共通の敵であり,絶対に防がなければいけないものです.皮肉なことに,人間関係の希薄化が生み出した社会的な現象が,それを通して今度は地域の協力体制,近隣の信頼関係を作るきっかけとなっているのです.
犯罪は起こってはならないことですし,全力をもって地域で防がなければならないことですが,それに関与していくことによって,我々は失いかけていた地域の和というものを取り戻していくことになるかもしれません.そしてそのことにより,犯罪を未然に防ぎ,地域の絆が深まるのであれば,社会はこれからよい方向に変わっていくのではないでしょうか.もちろん言葉で述べるほど簡単なものではないのでしょうが.
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