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悲嘆(その1)1ヶ月以上前の記事ですが悲嘆について述べました.予告通り,今日は悲嘆とは実際どんな反応なのかということについて綴りたいと思います.文字通りの単に悲しみ嘆くということにとどまらず,実は様々な反応が生じます.
正常な悲嘆反応を示すのであれば,身体的には腹部の空腹感や胸部の圧迫感,喉への緊張感,音への過敏,離人感,息切れ,筋力の衰退,口の渇き,不眠,易疲労感,食欲不振,体重減少といった症状があり,感情・情緒的には,抑うつや悲しみ,怒り,罪悪感と自責,不安,無力感,感情鈍麻,安堵感,解放感といった症状がみられます.行動としては,喪失に対する接近あるいは回避,人との接触の回避,社会的引きこもりなどがみられます.
悲嘆をただ悲しいこととだけ思っていると,これら予想外の自分の反応に驚きや戸惑いを覚えるかもしれません.そして,自分はおかしくなってしまったのではないかと感じられる方もいるでしょう.しかし,実はそうではありません.これは,悲しみを乗り越えるための必然的な過程であって,自然な反応なのです.むしろ,これらの過程を経て,喪失を受容し,新たな出発をするといっても過言ではありません.
悲嘆対象を喪失することはつらい体験ですが,これらの過程を乗り越えて元の健康な生活へと戻っていくことができるのです.これが達成されないと病的悲嘆という状況に陥っていきます.つまり,悲嘆の過程が意識的あるいは無意識的に抑圧され,悲嘆作業が十分に,あるいは全く行われない場合に生じると言えると思います.ですから,何らかの喪失体験の際には恥ずかしがることなく存分に悲しみましょう.それはもっとも人間的な感情です.どうしようもなく悲しい体験でしょうが,その体験をして自分が人間として生きていることを,あるいは自分が生かされていることを知るでしょう.
私のこれまでの人生では最大の悲嘆は父の出直し(死)であり,祖母の出直し(死)でした.
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父
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